入江悠監督に聞く 「監督にとってサイタマノラッパーとは?」
難しいなあ。とっても難しいお題ですよ、これは。
最近読んだ本で面白かったのに「フェルマーの最終定理」(サイモン・シン)っていうのがあるんですけど、あの数学史上における世紀の大問題くらい難しいんじゃないかあ、と思います。
だって、僕でさえこの映画のすべてを分からないんですから。お客さんにそういう見方があるのか、と教えてもらって感銘を受けているほどです。
それか、あれですね。この前、ドイツの映画祭に行く際に「ドイツ史」(山川出版社)っていう分厚い本を買って持って行ったんですけど、ぜんぜん読み切れずに神聖ローマ帝国くらいでまだ止まっています。
なんでかっていうと、次々と新しい権力者が出てきて国の大きさも刻々と変わってくので、途中で頭がボーッとしちゃうからなんです。このお題はそんなヨーロッパの勢力図の遍歴くらい難しいと思いますよ。どこから観るかでぜんぜん変わってきちゃいますからね。
あと、僕は男兄弟の長男、しかも男子高校出身なんですけど、なんで女子がそんなにアボカドが好きなのか分からないのと同じくらい悩ましいお題です。
え?別に好きじゃない子もいるって?じゃあ、ますます難しいじゃないですか。もう頭がおかしくなりそうですよ。
でも、とにかくいろんな方に、できればラッパーと一番遠いとこにいる人にこそ観てもらいたい映画だということだけは、いちおう確信を持って言えます。
入江悠
Yu Irie
1979年、神奈川県生まれ。埼玉県・深谷市育ち。03年、日本大学芸術学部映画学科卒業。
大学在学中より映画や映像作品の制作を始め、短編『OBSESSION』(02)と短編『SEVEN DRIVES』(03)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門に2年連続入選し、05年には4本の短編を集めた短編集『OBSESSION』が池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開され、注目をあびた。冨永昌敬監督作品『パビリオン山椒魚』には演出部として参加。
06年に初の長編映画『JAPONICA VIRUS』が全国劇場公開。
2本目の長編『SRサイタマノラッパー』(09)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門グランプリ、第13回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭最優秀アジア映画賞、第50回日本映画監督協会新人賞受賞。
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