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今から26年前、ある一本の映画が公開された。
『ベスト・キッド』(原題「Karate Kid」)だ。 ニュージャージーからカリフォルニアに引っ越してきた高校生のダニエルは、 アリという名の女の子と知り合いお互い惹かれ合う。 しかし、アリの元彼ジョニーが現れ、 ダニエルはボコボコにされてしまう。 以来、ダニエルはジョニーをリーダーとした不良グループからいじめを受ける日々が続く。 そんなダニエルを助けたのは、ミヤギという東洋人。 彼は一見するとなんのヘンテツもない初老の男だが、実はカラテの達人だったのだ。 ジョニーが所属するカラテ道場コブラ会に赴いたダニエルとミヤギは、、 3ヵ月後に開催されるカラテトーナメントで戦うことをその場で約束する。 ダニエルは、ミヤギからカラテの教えを受けることになったが、 ミヤギが出す指示は、ペンキ塗り、車のワックスがけ、窓拭きなど雑用ばかり。
果たして、こんな練習方法で、
ダニエルはジョニーをはじめとするコブラ会の面々を カラテトーナメントで倒すことが出来るのだろうか・・・? かなり単純なストーリーだが、あなどってはいけない。 すぐにカラテを教えてもらえると思っていたダニエルは、 ミヤギの指示で延々と雑用をやらされる。 納得がいかないまましぶしぶ言われた通りにするダニエル。 しかし、実はその雑用の動きこそが、カラテの基本動作だったのだ。 まさに体で覚える教育。 この有名な練習方法は他の映画やコントなどで良くパロディ化されているので、 (最近だと『パリより愛を込めて』) 本作を見ていなくても、知っている人は多いでしょう。 この何事も基礎が大切で、日々の鍛錬が己を強くするという、 いかにも勤勉努力家の日本人ぽい教えのほか、 カラテ精神や盆栽精神など、東洋的な要素がふんだんに盛り込まれている。
シンプルな少年の青春成長物語に、東洋の神秘が加味されことで、
今までにないスタイルの映画となり、 これが受けて『ベスト・キッド』はアメリカで大ヒットを記録、 1984年の年間興行成績で第5位に食い込むという、 ダニエルさながらの大健闘をみせ、その後、シリーズ化された。 (残念ながら、あとの三作はポンコツ揃いなんだが・・・) ここ日本では、公開当時、歴史に残るようなメガヒットを記録したわけではないが、 普及し始めたレンタルビデオやその後のテレビ放送などを通じて、 広く知れ渡った作品だ。 筆者を含めたオーバー30で、そこそこ映画が好きな人だったら、 なんらかの形で、触れているはず。 その『ベスト・キッド』が、四半世紀の時を経て、 ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスとジャッキー・チェン主演でリメイクされた。 リメイクとは、過去の映画を作り直すこと。 隠れた名作や他の国の作品をリメイクするのならば、 その意義を見出すことが出来るが、 誰もが知っている名作をリメイクする意味はあるのだろうか? 以前、ジョージ・クルーニーがインタビューで、 「良い映画はリメイクする必要はない。 例えば『カサブランカ』をリメイクするのだったら、再公開した方が良い」 と語っていた。 『カサブランカ』とは比較にならないが、 『ベスト・キッド』だってかなり有名な作品であり、 80年代を代表する名作である。 ジョージ・クルーニーの言葉を借りるのなら、 『ベスト・キッド』をリメイクする必要はないし、筆者も見る前はやや懐疑的だった。 しかしながら、ジェイデン&ジャッキーの『ベスト・キッド』は、 リメイクした価値はあったと言わざるをえない出来栄えだった。
まずオリジナルが持っていたスピリッツをきちんと継承しているのが良い。
作り手からオリジナルへのリスペクトを感じることが出来た。 また、舞台をアメリカから中国に移したことで、よりスケール感が増したし、 主人公ドレの年齢を少し下げたことで、 ドレの師匠となるハンとの師弟愛はもちろんのこと、 親子のような関係がオリジナル以上に強調されている。 そして、今回はカラテではなくカンフーを学ぶんだが、 ドレを演じたジェイデン・スミスの頑張りには拍手を送りたい。 相当練習を積んでから本作に臨んだのは一目瞭然。 ドレ同様、ジェイデンも本作を通じて人として成長したに違いない。 ドレにカンフーを教えるハンを演じたジャッキー・チェンも素晴らしい。 ハンは口数も少なく、うらぶれた感が漂う男だ。 だが、実は武術の達人。 アクションだけでなく、演技力も評価して欲しいと常に語っていたジャッキー。 『東京インシデント』みたいな作品で、無理にシリアス路線を狙うよりも、 ジャッキー本来の持ち味を活かしつつ、新しい一面がうかがえるハンのような役の方がしっくりくる。 さて、今回のアクション指導はジャッキー・スタント・チームだが、 世話好きのジャッキーが、他のチーム・スタッフにアクション指導を丸投げするはずがない。 ジャッキーのアクション精神は、間違いなくジェイデンに注入されている。 ドレとハン、ジェイデンとジャッキー。 それぞれの関係が、完全にオーバーラップ。 この2人の役柄を越えた信頼関係が、 作品の節々に見られ、とても感銘を受けた。 ドレとハン、2人の関係は作品の肝だ。 ドレはハンから学び、ハンもドレから学ぶ。 そして、見ている我々もドレとハンから、様々な教えを学ぶ。 2人を演じているのがジェイデンとジャッキーだからこそ、 その教えに更なる深みが増した。 2人でなければ、リメイクする意味はなかったとさえ思う。 最後に一言。 ■オリジナルの『ベスト・キッド』が好きな方 オリジナルの良いところはちゃんと受けついでにいるので、安心して見て下さい。 ■オリジナルを見ていない、あるいは知らない方 リメイクだとか関係なしに楽しめる作品です。是非見て下さい。 ■オリジナルとジャッキーが好きな方 なるべくならば、一人ではなく同じような嗜好(オリジナル&ジャッキー好き)の人と一緒に見に行って下さい。 特に『ベスト・キッド』とジャッキー全盛期をリアルタイムで接し、 ジャッキーと共に年齢を重ねて来た人ならば、涙腺緩みまくること間違いなし。 そして、一緒に見た人とその感動を共有して下さい! (文・伊藤P) |
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