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作品詳細
ふくろう
生き延びるのは女、罠にはまるのは男。事の真相を知るのは物言わぬふくろうだけ
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。1980年頃、東北地方の山の中。住人がこぞって逃げ出した貧しい村でたった一軒残った家に、ボロをまとった餓死寸前の女が2人。もう限界だった。ユミエ(大竹しのぶ)とエミコ(伊藤歩)の母娘は、危機的状況から脱するために一計を案じる。身体を洗い、絵の具と墨で化粧をほどこし、急ごしらえの衣装で身支度をすれば、後は、なけなしの硬貨で電話をかけるだけだ。そして、ふくろうが鳴き、ランプに灯をともす頃、ダム工事現場から男(木場勝己)が訪ねてくる。ユミエは色気たっぷりに男を誘い…。
■解説
打ち捨てられた開拓村で発見された9つの白骨死体の謎。現役最高齢の監督新藤兼人が挑んだのは、1シーン1セットの斬新な撮影手法だ。訪問者である男たちは次々に母娘の待つ家に入ってきては、いまわの際のセリフを残して退場する。演劇的なつくりではあるが、クローズアップの多用は映画ならではのもの。そのアップに耐える表情の豊かさは俳優たちの力量あればこそ。
中でも、あっけらかんと事を進める大竹しのぶの迫力は圧巻だが、娘役伊藤歩も堂々と渡り合っている。セリフもキャラクターも戯画化された脚本の根底には、お上に物申す反骨精神が息づいている。満州に始まる入植事業の度重なる失敗に翻弄された側(=女を代表とする)が、今度はお上の手先である男たちを手玉に取るのだ。したたかな女と愚かな男。生命力の差は歴然としている。
2004年2月7日 より シアターイメージフォーラムにて
- 配給:近代映画協会、シネマ・クロッキオ
- 製作国:日本(2003)
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- ジャンル:
- ドラマ
■スタッフ
監督 | 新藤兼人 (Kaneto Shindo) |
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脚色 | 新藤兼人 (Kaneto Shindo) |
原作 | 新藤兼人 (Kaneto Shindo) |
プロデューサー | 新藤次郎 (シンドウジロウ) |
撮影 | 三宅義行 (ミヤケヨシユキ) 林雅彦 (ハヤシマサヒコ) |
美術 | 新藤兼人 (Kaneto Shindo) |
音楽 | 林光 (ハヤシヒカリ) |
録音 | 武進 (タケススム) |
音響効果 | 佐々木英世 (ササキヒデヨ) |
照明 | 山下博 (ヤマシタヒロシ) |
編集 | 渡辺行夫 (ワタナベユキオ) |
衣裳 | 鈴木淳 澤いずみ (サワイズミ) |
選曲 | 加藤大和 (カトウヒロカズ) |
ラインプロデューサー | 桑原一仁 (クワバラカツヒト) |
助監督 | 山本保博 (ヤマモトヤスヒロ) |
題字 | 新藤兼人 (Kaneto Shindo) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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大竹しのぶ (オオタケシノブ) | ユミエ |
伊藤歩 (Ito Ayumi) | エミコ |
池内万作 (Mansaku Ikeuchi) | 巡査 |
蟹江一平 (カニエイッペイ) | 引揚援護課の男 |
大地泰仁 | 浩二 |
木場勝己 (キバカツミ) | ダム男A |
六平直政 (Naomasa Musaka) | 電気屋 |
柄本明 (Akira Emoto) | ダム男B |
魁三太郎 | 電気屋上司 |
田口トモロヲ (Tomorowo Taguchi) | 水道屋 |
原田大二郎 (ハラダダイジロウ) | ダムかんとく |
塩野谷正幸 (シオノヤマサユキ) | 警視 |
江角英明 (エスミヒデアキ) | 村長 |
加地健太郎 (Kentaro Kaji) | ダム所長 |
上田耕一 (Koichi Ueda) | 電力支所長 |
松重豊 (Yutaka Matsushige) | 水道課長 |
松波寛 (マツナミヒロシ) | 福祉課長 |