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作品詳細
ファザーファッカー
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。1968年夏、長崎。中学三年生の田中静子は、漫画家を目指している聡明で夢見がちな14歳の少女である。静子の家庭は、キャバレー勤めの母・明美、小学生の妹・知恵の三人で貧しく暮らしている。静子が唯一慕っていた父・静男は、三年前に家族を捨てて家を出た。とある暑い午後、母の愛人である斎藤良次が新しい冷蔵庫とともに突然田中家にやって来た。「これからあんたたちのお父さんになる人よ」と母は喜ぶが、自分を“お父さま”と呼ばせ、礼儀作法に狂的にうるさく、好きな漫画を描くことを禁じる強権的な良次の存在は、静子にはうとましいだけであった。しかもこの新しい義父は、週に二、三度しか家に来ない。つまりこのウチは“2号”の家なのであった。そして、来る度に女性らしさを帯びてきた静子のカラダをなめまわすように見つめる義父の視線が、静子には耐え難かった。静子には同級生のボーイフレンド・益田浩樹がいる。ある日、静子は浩樹との交渉によって自分が妊娠していることに気がついた。母はただ戸惑うだけで、激怒した義父・良次は、その妊娠にかこつけて静子に“お仕置き”と銘打った肉体関係を強要する。母は見て見ぬ振りをするだけで助けようともしなかった。静子は堕胎手術し、浩樹は転校して行ったが、執拗に関係を迫る義父の強要はいまだ続いていた。静子は、時折“昆虫のように変身を重ねる少年”との美しいイマージュを夢想する。ウサギの穴にはまったアリスのように過酷な現実と危うい夢のラビリンスとの狭間を彷徨う静子は、全てから解き放たれ新たな道を自ら開拓し進んで行くために、家を出ることを決心。未来への扉をそっと開けるのだった。
■解説
内田春菊の少女時代をモデルにした小説を原作に、幾多の衝撃的な事柄を乗り越え成長して行く多感な少女を瑞々しい感覚で描いたハード・メルヘン。監督はプロデューサーとして鈴木清順作品や阪本順治作品を手掛け、今回初めて監督に挑戦した荒戸源次郎。一般公募4097人の中からヒロインに選ばれた中村麻美が女優デビューを飾った。
1995年6月17日 より
- 配給:フィルムメーカーズ=東京テアトル
- 製作国:日本(1995)
■スタッフ
監督 | 荒戸源次郎 (アラトゲンジロウ) |
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脚色 | 早岐五郎 |
原作 | 内田春菊 (ウチダシュンギク) |
企画 | 秋山道男 (アキヤマミチオ) |
プロデューサー | 菊地美世志 (Miyoshi Kikuchi) 沢田康彦 (サワダヤスヒコ) |
共同プロデューサー | 鈴木基之 孫家邦 (ソンカホウ) |
撮影 | 芦澤明子 (アシザワアキコ) |
美術 | 斉藤英則 (サイトウ) |
音楽 | 山下洋輔 (ヤマシタヨウスケ) |
録音 | 橋本文雄 (ハシモトフミオ) 柴山申広 (シバヤマノブヒロ) |
照明 | 大西美津男 (オオニシミツオ) |
編集 | 鈴木晄 (スズキアキラ) |
衣装デザイン | 堀越絹衣 (ホリコシ) |
助監督 | 堀口正樹 (ホリグチマサキ) |
スクリプター | 坂本希代子 (サカモトキヨコ) |
スチール | 橋口譲二 |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
---|---|
中村麻美 (ナカムラマミ) | 田中静子 |
秋山道男 (アキヤマミチオ) | 斎藤良次 |
矢島亜由美 (ヤジマアユミ) | 田中知恵 |
浦沢広平 (ウラサワ) | 益田浩樹 |
金子賢 (Ken Kaneko) | シズオ |
大門正明 (ダイモンマサアキ) | 益田浩 |
柏木由紀子 (カシワギユキコ) | 益田美樹 |
原田芳雄 (Yoshio Harada) | 田中静男 |
中沢青六 | 理髪店店主 |
伊東和子 (イトウカズコ) | 女医 |
橋本裕志 (Hiroshi Hashimoto) | 船着き場の男 |
岩崎秀昭 (イワサキ) | 線路の男 |
内田春菊 (ウチダシュンギク) | 歌手 |
アベックス | バンド |
桃井かおり (Momoi Kaori) | 田中明美 |