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作品詳細
あした輝く
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。満州・奉天の街で、夏樹病院の一人娘・夏樹今日子と若い衛生兵の速水香が知り合ったのは、戦争が終末を迎えようとする昭和二十年の初夏のことだった。今日子は十六歳、香は二十歳だった。その頃、今日子は、香の上官の加賀中尉に求婚されたが、彼女の心は香の人なつっこい人柄に惹きつけられていた。やがて終戦。日本軍は民間人を見捨てて引揚げてしまったために、街の人たちは香と夏樹博士をリーダーとして、遠い港を目指して徒歩で出発した。寒さと飢えのために人々を不安と焦燥が支配した。そして夏樹博士の急死。うちひしがれた今日子を支えたのは香の力強い愛だった。やがて二人は結婚、今日子は妊娠した。香はやがて生れてくる子供に“明日香”と命名した。一行はやっと目的地に向かう貨物列車に乗れた時、ソ連兵がやって来た。軍人は名乗り出ろ、というのだ。速水が自ら犠牲になりソ連兵に捕われたことで、列車は発車できた。その時、ソ連兵の人垣から銃声が聞こえた。銃殺? あまりのショックに今日子は流産してしまった。辿り着いた引揚船の上で、今日子の尊敬する緑川先生が女児を出産して、息をひきとった。今日子はその子を「明日香」と名付け、育てる決心をした。千葉に住む香の母は、息子の戦死の公報を受け失意の中にあったが、今日子と孫娘の出現に生きる歓びを見い出した。その家で今日子と明日香と姑のささやかな生活が始った。それから四年後、香の生存が伝えられた。帰還を祈る日々、母は病いに寝込むようになった。やがて香が帰還した。二人は抱き合い、泣いた。その頃、母は明日香に看取られ、息をひきとった。母の死の悲嘆にくれる良人を見て、今日子は明日香の出生の秘密を打ちあけることができなかった。昭和二十七年。明日香は小学校に入学した。そして今日子は再び妊娠。この機会に今日子は、明日香の秘密を香に語った。だが香はすでに知っていた。「血のつながりは無くても、明日香は僕にとって、本当の我が娘だよ」と言うやさしい香の言葉に、今日子は、自分の愛が今、実り始めたことを、身体中で感じるのだった。
■解説
戦争末期の満州から戦後の混乱期の日本を舞台に、清らかに強くひとつの愛を貫いた女性の半生を描く。原作は里中満智子の同名劇画。脚本は「ダメおやじ」のジェームス三木と「喜劇 日本列島震度0」の南部英夫、監督は脚本も執筆している「愛と誠」の山根成之、撮影も同作の竹村博がそれぞれ担当。
1974年11月2日 より
- 配給:松竹
- 製作国:日本(1974)
■スタッフ
監督 | 山根成之 (ヤマネシゲユキ) |
---|---|
脚本 | ジェームス三木 (ジェームスミキ) 南部英夫 (ナンブヒデオ) 山根成之 (ヤマネシゲユキ) |
原作 | 里中満智子 (サトナカマチコ) |
製作 | 沢村国男 (サワムラクニオ) 香川洋三郡 (カガワヨウザブロウ) |
撮影 | 竹村博 (タケムラヒロシ) |
美術 | 佐藤公信 (サトウキミノブ) |
音楽 | 田辺信一 (タナベシンイチ) |
録音 | 田中俊夫 (タナカトシオ) |
照明 | 飯島博 (イイジマヒロシ) |
編集 | 富宅理一 |
助監督 | 佐光曠 |
スチール | 金田正 (カネダタダシ) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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浅田美代子 (アサダミヨコ) | 夏樹今日子 |
志垣太郎 (シガキタロウ) | 速水香 |
津島恵子 (Keiko Tsushima) | 速水昌江 |
長藤尚子 (ナガフジナオコ) | 速水明日香 |
北沢彪 (キタザワヒョウ) | 夏樹栄介 |
田島令子 (タジマレイコ) | 緑川和子 |
沖雅也 (オキマサヤ) | 加賀中尉 |
志摩みずえ (シマミズエ) | 石野ひろ子 |
村野武範 (ムラノタケノリ) | 西崎繁 |
石原亜希子 (イシハラアキコ) | 鈴花 |
北浦昭義 (キタウラアキヨシ) | 緑川誠一郎 |
ユセフ・オスマン | ソ連兵 |
ギャンター・グレーヴェ | ソ連兵 |
高木信夫 (タカギノブオ) | 避難民 |
水木涼子 (ミズキリョウコ) | 避難民 |
戸川美子 (トガワヨシコ) | 避難民 |
大杉侃二郎 (オオスギカンジロウ) | 避難民 |