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作品詳細
吹雪と共に消えゆきぬ
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。晩秋の湯ケ原−−園村家の別荘の庭では未亡人の邦代が爺やと二人きりで若い日の想い出をたぐっていた。彼女は戦死した兄の親友達に慕われ、また、恋されたが、その誰とも結ばれず十五も年上の著名な園村画伯と結ばれた。そしてこの夏夫に死別したのだ。彼女は亡夫の遺骨納めに長崎へ行くのを機会に、今は各地に散在している昔の親友達を歴訪しようと思い立った。最初に訪れたのは江藤稔、彼は教会の司祭を勤めまた幼稚園の先生としてまだ独身で暮していた。神戸にいると聞いた森五郎を探し廻った邦代はクラブを経営する彼を探し当てた。しかし彼の正体はマリという情婦を持つ密輸団の首脳であった。戦争で片足を失ったのが日蔭へ追いやった動機だが、若き日に自分と結ばれなかったという想い出があることも知った。想い出の「山の唄」で邦代と踊る彼の目は濡れていた。その様子を見て嫉妬に狂ったマリの密告で、彼は官憲の手に捕えられていった。次ぎに訪れた西原仙三は戦死してい、彼の面影だけに生きている母が淋しく暮していた。帰途、熱海の遠山家でもアル中になってしまった武男の不幸な姿を見た。そして、彼女は最後の一人、北アルプスの山案内人北川守を訪ねた。暖い部屋の中で二人は失われた青春の想い出の糸をたぐった。やがてそれが未来の希望へと育ちかけたとき、雪崩で遭難したという知らせがきた。彼は若人の命を救いに吹雪と共に消えて行ったのだ。つまり、そのとき、彼自身も遭難してしまったのである。スノウボートで静かに送られてきた遺体に邦代は顔を埋めた。やがてダビにふされ、山肌を紫色の煙が静かに登って行った。邦代は思い出のアルバムを燃えさかる火中に、力なく投じた。
■解説
「舞踏会の手帖」の型式で田中澄江が書き下した脚本を「野良猫」(東宝)の木村恵吾が監督した。撮影は木塚誠一。
1959年2月4日 より
- 製作国:日本(1959)
■スタッフ
監督 | 木村恵吾 (キムラケイゴ) |
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脚本 | 田中澄江 (タナカスミエ) |
企画 | 中野繁雄 (ナカノシゲオ) |
製作 | 亀田耕司 (カメダコウジ) |
撮影 | 木塚誠一 (キヅカセイイチ) |
美術 | 平川透徹 (ヒラカワトウテツ) |
音楽 | 佐藤勝 (Masaru Sato) |
録音 | 中野倫治 |
照明 | 平田光治 (ヒラタミツハル) |
編集 | 沼崎梅子 (Umeko Numazaki) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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高峰三枝子 (タカミネミエコ) | 園村邦代 |
三津田健 (ミツダケン) | 謙作 |
泉田雄介 (イズミダユウスケ) | 吉田 |
岩崎綾子 (イワサキアヤコ) | てる |
殿山泰司 (Taiji Tonoyama) | 郵便配達夫 |
宇野重吉 (Jukichi Uno) | 江藤稔 |
二木てるみ (ニキテルミ) | 幼稚園の子供 |
森雅之 (Masayuki Mori) | 森五郎 |
二代目水谷八重子 (Yaeko Mizutani) | マリ |
大森義夫 (オオモリヨシオ) | 老警官 |
菅井一郎 (スガイイチロウ) | 私服刑事 |
色川猛 | ボーイ |
山田五十鈴 (Isuzu Yamada) | 西原さわ |
中村芳子 (ナカムラヨシコ) | 西原ちづ |
芥川比呂志 (Akutagawa Hiroshi) | 遠山武男 |
千之赫子 (チノカクコ) | 遠山邦代 |
賀原夏子 (カハラナツコ) | 松子 |
岸田今日子 (Kyoko Kishida) | 阿沙美 |
山崎恵子 (ヤマザキケイコ) | 洋子 |
高久信子 | ぽんた |
佐分利信 (Shin Saburi) | 北川守 |
高野通子 (タカノミチコ) | しづ子 |
西沢和子 (ニシザワカズコ) | とみ子 |
松沢英夫 (マツザワヒデオ) | 浜田 |
関口淳 | 川上 |
立川恵作 | ホテル支配人 |