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作品詳細
わが胸に虹は消えず(二部作)
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。一部−−麻生周吉は、亡妻に生写しの娘伊久子をこよなく可愛がっていたが、伊久子は彼の実の娘ではなかった。彼の外遊中、妻の過失で生れた子なのだ。無論彼女はこのことを知らない。その彼女には意中の人がいた。周吉が部長をしている磯崎造船の専務の甥、伊東である。ある夜、伊久子は、伊東と葉山の海へ行く、といったが、周吉は反対した。そんな伊久子に、伊東との仲を嫉妬している周吉の秘書室町清子は、伊東と一緒に葉山へ行って楽しく遊んだ、とわざと誇張して告げた。信じていた伊東への期待が一時に崩れる思いで、伊久子はその場に倒れた。かつぎ込まれた会社の医務室で、医師の篠崎は彼女に挑みかかろうとしたが、伊久子は危うく逃れた。そこへ弟の純が伊東に直接会って、清子との仲は何でもないことを聞いて来た。飛立つ思いで、伊東のところに出掛けようとする伊久子の許に電報が来た。姉阿津子の夫で騎手島田からだった。阿津子が失踪してしまったという。伊久子は直ぐ福島へ発たねばならない。しかし、その前に伊東にも会いたい。約束の場所で伊久子は意外にも、清子と伊東とが抱合ったまま自動車で去って行くのを見た。茫然とする伊久子。しかし、これは伊久子に横恋慕した医師篠崎の打った卑劣な芝居だった。篠崎は与太者を使って伊東を襲わせ、倒れたのを見届けてから清子に名も告げずに電話したのだ。二部−−姉の無事を見届け帰京した伊久子を、ある日周吉は箱根に誘い、伊東との結婚を許した。その数日後、造船所を視察していた周吉は、工員の不注意から失明した。気力の衰えた周吉は、伊久子に、その出生の秘密を告白した。余りの驚きに顔色を変えて病室から飛び出して来た伊久子に、伊東が突然求婚した。だが、伊久子は、“私の血は汚れている、貴方に価しない女です”と伊東の手から逃れた。その彼女の前に篠崎が現われた。強引に抱きしめようとした篠崎が、不意によろめいた。弟の純が駈付けたのだ。彼の右手にはナイフが光っていた。次の瞬間、篠崎は路上に倒れた。我にかえった純が辺を見廻すと、夕暮の路上には既に伊久子の姿はなかった。
■解説
文化放送をはじめ全国十九局で二百回を突破した矢代静一、山田隆之作の連続ラジオ・ドラマを「アチャコ行状記 嫁取り試験」の若尾徳平が脚色。監督は「この二人に幸あれ」の本多猪四郎、撮影は「東京だョおッ母さん」の栗林実。主な出演者は「あらくれ(1957)」の上原謙、「「動物園物語」より 象」の河内桃子、「恐怖の弾痕」、の宝田明、「浪人街(1957)」の高峰三枝子、「東京だョおッ母さん」の杉葉子、伊藤久哉、「嵐の中の男」の根岸明美ほかに江原達治、平田昭彦など。
1957年7月9日 より
- 配給:東宝
- 製作国:日本(1957)
■スタッフ
監督 | 本多猪四郎 (Ishiro Honda) |
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脚色 | 若尾徳平 |
原作 | 矢代静一 (ヤシロセイイチ) 山田隆之 (ヤマダタカユキ) |
製作 | 安達英三郎 (アダチエイザブロウ) |
撮影 | 栗林実 (Minoru Kuribayashi) |
美術 | 阿久根巖 (アクネイワオ) |
音楽 | 奥町一 (オクマチハジメ) |
録音 | 長岡憲治 (ナガオカケンジ) |
照明 | 田中義男 (タナカヨシオ) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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上原謙 (ウエハラケン) | 麻生周治 |
河内桃子 (コウチモモコ) | 麻生伊久子 |
土屋嘉男 (ツチヤヨシオ) | 島田武 |
根岸明美 (ネギシアケミ) | 島田阿津子 |
高峰三枝子 (タカミネミエコ) | 河野芳江 |
江原達怡 (エハラタツヨシ) | 河野純 |
宝田明 (Akira Takarada) | 伊東達雄 |
杉葉子 (スギヨウコ) | 室町清子 |
伊藤久哉 (イトウヒサヤ) | 篠崎 |
平田昭彦 (ヒラタアキヒコ) | 徳岡 |
林幹 | 矢口 |
本間文子 (Noriko Honma) | 婆や |
村上冬樹 (Fuyuki Murakami) | 倉本 |
渋谷英男 (シブヤヒデオ) | 小川 |
森啓子 (モリケイコ) | しのぶ |
広瀬正一 (ヒロセショウイチ) | 与太者A |
吉田真悟 (ヨシダシンゴ) | 与太者B |
島津猛 (シマヅタケシ) | 与太者C |
立花映子 (タチバナエイコ) | 看護婦 |
三田照子 (ミタテルコ) | つたやの女将 |
熊谷二良 | 医者 |
小野松江 (オノマツエ) | 看護婦 |
伊沢一郎 (イザワイチロウ伊澤一郎) | 福里 |