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作品詳細
夜あけ朝あけ
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。鬼怒川べりの村の春。小学六年生の奥山えつ子は、タンポポの綿毛を一息で吹きとばせば新しい着物が貰えるという童話をきかされた。それを読んでくれたのは日高恒夫である。彼の父三平は結城袖の図案家で、えつ子のお母さんは袖の名うての織り手であった。田植の終った日、えつ子の母マサは足の傷がモトで破傷風になり、死んでしまった。残された奥山一家の四人兄妹と祖母のツネは長男正司を中心に生活にぶつかっていった。マサが命とひきかえに残していったカタミの稲を守り、正司とえつ子は野菜を市場に運んでマサの新盆の用意をしたりした。七夕祭りの日が来て、兄妹たちは三平おじの家に呼ばれたが、正司はこの夜も田んぼの水はきに忙しかった。稲の刈入れどきには農繁休みでみどりを始め正司の同級生が十数人も応援に来てくれた。やがて奥山一家は三反七畝の水田から二十五俵の収穫をあげ、割当の十六俵をとどこおりなく供出した。ところが思い掛けずも村の供出完納のトップになり、県知事から表彰状やピカピカの自転車をもらった。これは村中のうわさになったが、兄妹は貧乏がひどくなるので少しも嬉しくなかった。春が来て正司は中学を卒業した。しかし妹たちの進級や入学で生活はますます追いつめられ、遂に正司は東京へ出稼ぎに行った。すると村では正司が夜逃げして東京で泥棒をしているんだというウワサが拡った。うわさの主は大百姓の文助じいさんらしい。えつ子は心配して東京へ尋ねて行ったが逢えずじまいたった。だが、やがて来た七夕の夜、小学校でのニュース映画会に地下鉄工事をしている正司の顔が大きく映った。拍手の嵐で文助じいさんが逃げだしたあとに、奥山兄妹の顔が明るく輝いていた。
■解説
農村の春夏秋冬の情景をオールロケでとらえた劇団民芸の第八回自主作品。三十年度毎日出版文化賞を獲得した住井すゑの同名小説より、「少年死刑囚」の片岡薫が脚色、「石合戦」の若杉光夫が監督し、「夜間中学」の前田実が撮影を担当した。主な出演者は「ある夜ふたたび」の乙羽信子「夜間中学」の宇野重吉、「真昼の暗黒」の内藤武敏、その他劇団民芸の人々。なお茨城県下二千名の少年少女の中から選ばれた六名の少年少女が出演する。
1956年9月7日 より
- 配給:独立映画
- 製作国:日本(1956)
■スタッフ
監督 | 若杉光夫 (ワカスギミツオ) |
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脚色 | 片岡薫 (カタオカカオル) |
原作 | 住井すゑ (スミイスエ) |
製作 | 大塚和 (オオツカカノ) 松丸青史 |
撮影 | 前田実 (マエダミノル) |
美術 | 江坂実 |
音楽 | 齋藤一郎 (Ichiro Saito) |
録音 | 加藤一郎 (カトウイチロウ) |
照明 | 吉沢欣三 (ヨシザワキンゾウ) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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遠井慶子 (トオイケイコ) | 奥山えつ子 |
吉田隆 (ヨシダタカシ) | 奥山正司 |
屋代将之 (ヤシロマサユキ) | 奥山武 |
水越幸子 (ミズコシユキコ) | 奥山さと子 |
乙羽信子 (Otowa Nobuko) | 奥山マサ |
北林谷栄 (Tanie Kitabayashi) | 奥山ツネ |
伊藤信 (イトウ) | 奥山文助 |
宇野重吉 (Jukichi Uno) | 日高三平 |
小夜福子 (サヨフクコ) | 日高すえ |
山川英子 (ヤマカワエイコ) | 日高みどり |
有泉圭助 (アリイズミケイスケ) | 日高恒夫 |
染谷けい子 (ソメヤケイコ) | 中杉ひろ子 |
大町文夫 (オオマチフミオ) | 中杉伝吉 |
三崎千恵子 (Chieko Misaki) | 中杉たね |
戸田春子 (トダハルコ) | 中杉つる |
間井田海子 (マイタウミコ) | 中杉かつ子 |
高野由美 (タカノユミ) | 中杉くに |
山内明 (ヤマウチアキラ) | 中杉万作 |
大森義夫 (オオモリヨシオ) | 新聞記者 |
内藤武敏 (ナイトウタケトシ) | 中学校の先生 |
奈良岡朋子 (Naraoka Tomoko) | 小学校の先生 |
津村悠子 (ツムラユウコ) | 小学校の先生 |
宮坂将嘉 (ミヤサカマサキ) | 地方事務所長 |
佐野浅夫 (サノアサオ) | 傘修繕屋 |
佐々木すみ江 (ササキスミエ) | 村人 |
斎藤美和 (サイトウミワ) | 村人 |
加藤土代子 (カトウトヨコ) | 村人 |
福田秀実 (フクダヒデミ) | 村人 |
松下達夫 (マツシタタツオ) | 仲買人 |
細川ちか子 (ホソカワチカコ) | おかみさん |