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作品詳細
美しい人(1954)
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。昭和二十年、太平洋戦争も大詰に近ずいた頃。老母とし、美しい妻志乃と平和な家庭を営んでいた評論社編集次長栗原東作は、憲兵隊のデッチあげたスパイ事件の容疑者として投獄された。志乃の弟相良浩は東作の従妹石渡奈美子と許婚であったが、右翼結社ハニワ塾の指導者大隅嘉行の感化を受けて帝都防空特攻隊に参加し、B29に体当りして散華した。志乃はたった一人の弟を失くした口惜しさに大隅を訪ねるが、既に大隅は日本を見切って大陸に渡り、家には妹の恒子しか居なかった。敗戦と共に釈放された東作も病死し、生活に困った志乃は東作の部下の平尾の世話で銀座の宝石商三木ジュエリーに勤める事になった。一方、美奈子はキャバレーのダンサーに身を落し、マネージャー釘村の脅迫でモヒ患者に仕立てられていた。実は三木ジュエリーもキャバレーも戦後舞い戻った大隅の支配下にあり、大隅は姓を正宗と改め、正宗法律事務所を中心に右翼再建にとりかかっていた。平尾は次第に志乃に惹かれ、美奈子は志乃に引き取られ、再び美奈子を脅迫に来た釘村は仕事の上の過失から正宗に惨殺された。仕事の内容に不信を抱いた平尾は志乃と一緒に店を止めようとし、恒子に正宗が大隅である事を聞いてしまう。しかし既に正宗の部下林の知る所となり、二人は熱海行を命ぜられた。身の危険を感じた平尾は、志乃に護身用のピストルを渡して無理に東京へ立たせた。平尾から正宗が大隅である事を聞かされ、思いつめた志乃は正宗法律事務所を訪れると大隅を射ってしまった。被告台上で己の所信をたんたんと語り終えた志乃は平尾とピッタリ視線が合った。ニッコリ笑ってうなずく平尾の眼に、涙に濡れた志乃の顔にもかすかな微笑が浮んだ。
■解説
三好十郎のNHK連続放送劇の映画化で、これを出版しているダヴィッド社の自主製作々品である。北風一平(山内久)の脚本を「唐人お吉」の若杉光夫が監督している。撮影は「君に捧げし命なりせば」の岡崎宏三、音楽は「金色夜叉(1954)」の斎藤一郎。キャストは「山の音」の上原謙、「遊侠夫婦笠」の宮城野由美子、「勲章」の香川京子、「大阪の宿」の乙羽信子のほか、滝沢修、細川ちか子、宇野重吉、山内明など民芸の面々が出演する。
1954年3月31日 より
- 配給:新東宝
- 製作国:日本(1954)
■スタッフ
監督 | 若杉光夫 (ワカスギミツオ) |
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脚色 | 北風一平 (キタカゼイッペイ) |
原作 | 三好十郎 (ミヨシジュウロウ) |
製作 | 遠山直道 (トオヤマナオミチ) |
撮影 | 岡崎宏三 (Kozo Okazaki) |
美術 | 藤田博 (フジタヒロシ) |
音楽 | 齋藤一郎 (Ichiro Saito) |
録音 | 田中正二 (タナカショウジ) |
照明 | 下村一雄 (シモムラカズオ) |
製作協力 | 大塚和 (オオツカカノ) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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上原謙 (ウエハラケン) | 栗原東作 |
宮城野由美子 (ミヤギノユミコ) | 妻志乃 |
細川ちか子 (ホソカワチカコ) | 母とし |
波多野憲 (ハタノケン) | 相良浩 |
香川京子 (Kagawa Kyoko) | 石渡美奈子 |
伊達信 (ダテシン) | 父清介 |
下元勉 (シモモトツトム) | 兄清一 |
田中晋二 (タナカシンジ) | 弟秀男 |
宇野重吉 (Jukichi Uno) | 平尾宗次郎 |
滝沢修 (Osamu Takizawa) | 大隅嘉行 |
乙羽信子 (Otowa Nobuko) | 妹恒子 |
芦田伸介 (アシダシンスケ) | 釘村 |
日野道夫 (ヒノミチオ) | 河合 |
冨田浩太郎 (トミタコウタロウ) | 尾行の男 |
清水将夫 (シミズマサオ) | 三木 |
山内明 (ヤマウチアキラ) | 林克彦 |
鶴丸睦彦 (ツルマルムツヒコ) | 岡本中将 |
大森義夫 (オオモリヨシオ) | 井上編集長 |
小夜福子 (サヨフクコ) | 飲屋のお絹 |
奈良岡朋子 (Naraoka Tomoko) | 志乃の学友 |
津村悠子 (ツムラユウコ) | 紀代子 |
斎藤美和 (サイトウミワ) | せん子 |
高野由美 (タカノユミ) | お千代 |