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作品詳細
上意討ち 拝領妻始末
(原題:Rebellion)
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。会津松平藩馬廻りの三百石藩士笹原伊三郎は、主君松平正容の側室お市の方を、長男与五郎の妻に拝領せよと命ぜられた。武芸一筋に生きてきた伊三郎は、笹原家に婿養子として入った身で、勝気な妻すがの前で忍耐を重ねて暮してきた。だから、与五郎には自分の轍を踏ませず、その幸福な結婚を願っていたため、なんとしても命を受けるわけにはいかなかった。伊三郎は親友で国廻り支配の浅野帯刀に相談し、時をかけてこの話を立ち消えにしようと考えた。しかし、側門人高橋外記の性急な要請と、笹原一族の安泰を考える笹原監物の談判を受け、伊三郎は藩命という力の前に屈した。間もなく与五郎といちの祝言が挙げられた。いちの花嫁姿は子を生んだ女とは思えないほど初々しく、その後も夫や姑に従順に仕えた。家督を与五郎に譲った伊三郎はそんないちが、なぜ藩主から暇を出されたのか訝った。いちは十九歳の時、許嫁がいるにもかかわらず一方的な藩命で正容の側室にされ、菊千代を生んだ。その悲惨な運命を受け入れたいちが、喜々として正容の側室になったお玉の方を見た時、正容をけだもののように感じて逆上したのであった。与五郎も伊三郎も、この一部始終をいちから聞いているうちに、いちほど立派な嫁はいないと思った。平和な日が続き、いちはとみを生んだ。そんなある日、正容の嫡子正甫が急死した。菊千代が世継ぎと決り、いちの立場は藩主の母となってしまったために、藩の重臣は与五郎にいちを返上せよと命じた。この人道にそむく理不尽な処置に伊三郎は怒った。これまで笹原家の門閥と格式を守ることにのみ生きてきた伊三郎は、与五郎と共に叛徒になる決心をした。明け方、上意討ちの一隊が笹原家を襲ったが、拉致されたいちは自ら刃の前に身を投げ出して果て、与五郎もいちに折り重って敵刃に倒れた。伊三郎は狂気のように荒れ狂い、外記らを斬りまくった。やがて、藩の非道を幕府に訴えようと、とみを連れて旅に出る伊三郎の前に領内の出入りを見張る帯刀が現われた。役目とはいえ、非痛な思いで伊三郎に対峙する帯刀は、伊三郎の豪剣の前に倒れた。しかし、その伊三郎も追手の銃弾に果てた。その場所鬼神ケ原には、とみの泣き声が藩の非道を訴えるように聞こえていた。
■解説
『城』(28号)に掲載された滝口康彦の原作『拝領妻始末』を「白い巨塔」の橋本忍が脚色し、「怪談」以来二年間の沈黙を破って小林正樹が監督した時代劇。撮影は「ゼロ・ファイター 大空戦」の山田一夫。1967年6月3日より全国公開。
1967年5月27日 より
- 配給:東宝
- 製作国:日本(1967)
■スタッフ
監督 | 小林正樹 (Masaki Kobayashi) |
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脚色 | 橋本忍 (Shinobu Hashimoto) |
原作 | 滝口康彦 |
製作 | 田中友幸 (Tomoyuki Tanaka) |
撮影 | 山田一夫 (ヤマダカズオ) |
美術 | 村木与四郎 (Yoshiro Muraki) |
音楽 | 武満徹 (Toru Takemistu) |
録音 | 奥山重之助 (オクヤマ) |
照明 | 小西康夫 (コニシヤスオ) |
編集 | 相良久 (サガラヒサシ) |
スチル | 副田正男 |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
---|---|
三船敏郎 (Toshiro Mifune) | 笹原伊三郎 |
加藤剛 (Go Kato) | 笹原与五郎 |
江原達怡 (エハラタツヨシ) | 笹原文蔵 |
大塚道子 (オオツカミチコ) | 笹原すが |
司葉子 (Tsukasa Yoko) | 笹原いち |
仲代達矢 (Tatsuya Nakadai) | 浅野帯刀 |
松村達雄 (マツムラタツオ) | 松平正容 |
三島雅夫 (ミシママサオ) | 柳瀬三左衛門 |
神山繁 (Shigeru Koyama) | 高橋外記 |
山形勲 (ヤマガタイサオ) | 土屋庄兵衛 |
浜村純 (ハマムラジュン) | 塩見兵右衛門 |
山田恵美 | 兵右衛門妻 |
佐々木孝丸 (ササキタカマル) | 笹原監物 |
福原秀雄 (フクハラヒデオ) | 佐平 |
川尻則子 | ぬい |
市原悦子 (Ichihara Etsuko) | きく |
小林哲子 (コバヤシテツコ) | お玉 |
山岡久乃 (ヤマオカヒサノ) | 笠井三之丞の母 |
日塔智子 | 吉野 |
青木義朗 (アオキヨシロウ) | 小宮隆蔵 |