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作品詳細
剣に賭ける
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。剣に憑かれた青年千葉周作は、殺人鬼の腕に抱かれた赤子の命を犠牲にしても己が剣の修練のみを考えていた。江戸に出た周作は剣聖、浅利又七郎の道場に入った。高柳又四郎の音無しの構えにうちのめされた周作は、凄じい剣への執念を燃やして精進した。彼の腕はめきめきと上り、そしていつか浅利の娘千夜と心を通い合わせるのだった。だがある夜、千夜に横恋慕する寺田兵馬をやむなく斬ったことから、周作は道場を去ることになった。“剣は心だ、心を持って心を斬る”と浅利はさとしたが、周作の耳にその言葉は入らなかった。剣の道を求めて諸国をさまよう周作の耳にかつてその幼い命を失わした赤ん坊の泣き声がつきまとった。その頃、浅利道場を訪れた兵馬の兄、寺田七郎太は高柳又四郎と立合い、その音無しの構えを破った。さすらいのはて、とある漁村に来た周作は、断崖の上に赤ン坊を抱いて哄笑する狂女を見た。何もかもいつかの時と同じだった。周作の計略が図に当って赤子は無事に救い出された。会心の笑みをうかべる周作には、人の心を包む温かさが感じられた。江戸に戻った周作に、待ち受けていた七郎太はすぐさま果し状を送って来た。時は明け方、場所は薄の繁る千丈原。現われた七郎太の背は陽光を背負って周作の眼を射た。七郎太の策を悟った周作は脱兎の如く走って場所を変え、十数間を距てて相対峙した。両者の手に同時に白刃がひらめき、疾風の如く駆け寄った二人は剣を振り下した。一瞬後、立ちつくす周作の面上には喜びも悲しみもなく、ただ、虚しさに似た超越の境地に澄み切っていた。
■解説
「鉄砲安の生涯」の八尋不二と「ソーラン渡り鳥」の浅井昭三郎が共同で脚本を執筆、「裁かれる越前守」の田中徳三が監督した剣豪もの。撮影は「婦系図」の武田千吉郎。
1962年9月16日 より
- 配給:大映
- 製作国:日本(1962)
■スタッフ
監督 | 田中徳三 (Tokuzo Tanaka) |
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脚本 | 八尋不二 (ヤヒロフジ) 浅井昭三郎 (アサイショウザブロウ) |
企画 | 浅井昭三郎 (アサイショウザブロウ) |
撮影 | 武田千吉郎 (タケダセンキチロウ) |
美術 | 西岡善信 (ニシオカヨシノブ) |
音楽 | 齋藤一郎 (Ichiro Saito) |
録音 | 長岡栄 (ナガオカサカエ) |
照明 | 岡本健一 (Kenichi Okamoto) |
編集 | 菅沼完二 (スガヌマカンジ) |
スチル | 三浦康寛 |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
---|---|
市川雷蔵 (Raizo Ichikawa) | 千葉周作 |
高千穂ひづる (タカチホヒヅル) | 千夜 |
高野通子 (タカノミチコ) | お鈴 |
万里昌代 (バンリマサヨ) | お染 |
天知茂 (アマチシゲル) | 寺田七郎太 |
友田輝 | 寺田兵馬 |
加藤嘉 (カトウヨシ) | 了海和尚 |
石黒達也 (イシグロタツヤ) | 浅利又七郎 |
上田吉二郎 (ウエダキチジロウ) | 月山坊徹厳 |
浜村純 (ハマムラジュン) | 高柳又四郎 |
水原浩一 (ミズハラコウイチ) | 平助 |
寺島雄作 (テラシマユウサク) | 刀屋惣助 |
伊達三郎 (Saburo Date) | 森下義太郎 |
玉置一恵 (タマキカズエ) | 風林坊惟然 |
林寛 (ハヤシヒロシ) | 善兵樹 |
橋本力 (ハシモト) | 大雲坊忍剣 |
嵐三右衛門 (アラシ) | 海坊主道満 |
沖時男 (オキトキオ) | 白井享 |
春日清 (カスガキヨシ) | 岩介 |
藤川準 (フジカワジュン) | 山狩りの猟師 |
志賀明 (シガアキラ) | 猟師二 |
井上武夫 (イノウエタケオ) | 若い父親 |
大杉潤 (オオスギジュン) | 猟師一 |
山岡鋭二郎 (ヤマオカエイジロウ) | 男衆 |
木村玄 | 大林挽平 |
辻村博子 (ツジムラヒロコ) | おしげ |
谷口和子 (タニグチカズコ) | 若い母親 |