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作品詳細
何もかも狂ってやがる
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。授業中の静かな教室、突然教師矢田の怒声がとんだ。“授業中に女の話をしているなんて、君はこの教室のバイキンだ”無表情に机の傍に立っているのは細田淳である。矢口は淳のそんな態度を忌々しそうに睨みつけると、教科書を叩きつけ、荒々しく出ていった。淳は仲のよい吉井努と連れ立って帰る途中、何ともわからぬものに対するふんまんで胸が煮えくりかえるようだった。淳の父親は職工で、貧しい家計をたすけるために母親は毎夜遅くまでミシンをふまなければならなかった。淳は、学歴のないことをいつもこぼしている父親の不甲斐ない態度に腹を立てずにいられなかった。と同時に、彼には大人の世界の複雑さがやりきれなかった。そんなうっぷんをはらすために淳は父親に逆らい、母親を困らせ、教師の矢口に反抗した。反抗のための反抗だったが、淳にはどうしようもなかったのだ。そんなある日、淳と親友の努の二人は、このあたりの顔役三沢に組へ入れとすすめられた。ためらう努にかまわず、淳は平然と三沢から小遣いを受け取った。家へ帰ると淳を待っていたのは父親の渋い顔であった。学校からの呼び出しを受けたのだ。お前を大学までやろうと苦労しているのに、とくどくどという両親のみじめさに堪えられなくなった淳はそのまま家を飛び出した。その夜街をうろつく淳を呼びとめた女があった。喫茶店で会ったことのあるタイピストの陽子だった。陽子は淳をアパートの部屋にともない、優さしくお茶を入れてくれるのだった。学校も家もおもしろくない淳は、毎日街をほっつき歩き、ついに停学処分をうけた。そんな淳にとってたった一つの心のよりどころは、姉のようにやさしい陽子であった。その陽子が、課長の意に従わないため会社を辞めさせられようとしているのを知った淳は会社にのりこんだ。淳におどされた課長は、陽子をくびにしないことを約束した。淳にとって陽子は絶対で、素直に言うことも聞けるのだ。晴々とした気分になるのだった。それから二、三日後、労働者にまじって立ち働く淳の姿がみられた。彼の顔に明るい生気がみなぎっていた。
■解説
大工原正泰のオリジナル・シナリオを、「真昼の誘拐」の若杉光夫が監督した社会ドラマ。撮影もコンビの井上莞。
1962年4月18日 より
- 配給:日活
- 製作国:日本(1962)
■スタッフ
監督 | 若杉光夫 (ワカスギミツオ) |
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脚本 | 大工原正泰 |
企画 | 大塚和 (オオツカカノ) |
撮影 | 井上莞 (イノウエカン) |
美術 | 岡田戸夢 (オカダトム) |
音楽 | 渡辺宙明 (ワタナベチュウメイ) |
録音 | 岡崎三千雄 (オカザキミチオ) |
照明 | 宮崎清 (ミヤザキキヨシ) |
編集 | 丹治睦夫 |
スチール | 浅石靖 |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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麦人 (Mugihito) | 細田淳 |
吉行和子 (Kazuko Yoshiyuki) | 小林陽子 |
坂下文夫 (サカシタフミオ) | 吉井務 |
松下達夫 (マツシタタツオ) | 努の父 |
大森義夫 (オオモリヨシオ) | 淳の父時男 |
高野由美 (タカノユミ) | 淳の母市子 |
金川高司 | 吉野清 |
宮阪将嘉 (ミヤサカマサヨシ) | 清の父 |
椎名伸枝 | 姉則子 |
佐々木すみ江 (ササキスミエ) | 吉野の母 |
梅野泰靖 (ウメノヤスキヨ) | 三沢 |
信欣三 (シンキンゾウ) | 田丸 |
宮崎準 (ミヤザキジュン) | 教師矢口 |
佐野浅夫 (サノアサオ) | 楽隊屋 |
野村隆 (ノムラタカシ) | 家庭教師 |
武藤章生 (ムトウショウセイ) | チンピラA |
石崎克巳 (イシザキカツミ) | チンピラB |
比留間隆之 (ヒルマタカユキ) | チンピラC |
吉田勇男 | 古本屋の主人 |
日野道夫 (ヒノミチオ) | 小使 |
大町文夫 (オオマチフミオ) | 宿泊所のおやじ |
澄川透 (スミカワトオル) | 刑事A |
高島史旭 | 刑事B |
牧野義介 | 人夫 |
葵真木子 (アオイマキコ) | ウェイトレス |
大滝秀治 (Hideji Otaki) | 調査員 |