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作品詳細

  • 青幻記 遠い日の母は美しく

    (原題:Time within Memory)
 

■ストーリー

※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。

わたしは、三十年たった今も、母のことが忘れられない。ふるさとの沖永良部島の青い海と白いサンゴ礁のなかに、なつかしく、くっきり見える。ついに島を訪れたわたしは、母の幻を見た。そして、すっかり老いた鶴禎老人に会った。過ぎ去った昔の想い出を、うすれた記憶にたどる老人だった。わたしの追憶も、あの三十年前の情景をありありとよみがえらせていく。若く美しい母と、幼いわたしの日々を……。鹿児島での祖父と、祖父の妾のたかとくらしたつらい生活から逃げるようにして、船に乗り、島を初めて見たのは、母が三十歳、わたしが小学校二年生、昭和となってまもない頃だった。母と祖父とわたしの三人の、貧しくとも温く肩を寄せ合った島の生活が始まった。母は、学校帰りのわたしを、毎日迎えてくれた。それよりも、わたしは一度でもいいから、母に抱きしめてもらいたかった。しかし、母は、病いのうつることを恐れて、決してわたしにふれなかった。台風のくる頃、海は荒れ、島の食糧は枯れ、灯りの油すら買えず、闇の中でひっそり眠った。それでも、年に一度の敬老の宴で、村人たちは夜のふけるまで、酒をくみ、踊った。母の踊りは、かがり火に映え、悲しみをはくような胸苦しいまでに美しい踊りであった。そして、冬のある晴れた日、サンゴ礁で、草舟を浮かべたり、魚を捕ったりして、半日を遊んだ母とわたし。それが、母とわたしの最後の日であった。母の葬いの日。母の死の理解できないわたしは、祖母につれられ、ユタを訪ねた。ユタの夜、わたしは、母の声を幻のようにきいた。……稔さん、お母さんは、一度でいいから、あなたを力一杯抱きしめてあげたかった……稔さん……稔さん……。



■解説

奄美諸島のひとつ沖永良部島を舞台に、母と子の哀しく清々しい情愛を、美しい厳粛な大自然と対面しながら、謳いあげる。原作は一色次郎の同名小説で、「儀式」のカメラマンの成島東一郎の脚本・撮影も担当した監督第一回作品である。脚本は他に平岩弓枝、伊藤昌輝が共同執筆。

  • 1973年2月24日 より

  • 配給:東和
  • 製作国:日本(1973)

■スタッフ

監督 成島東一郎 (ナルシマトウイチロウ)
脚本 平岩弓枝 (ヒライワユミエ) 成島東一郎 (ナルシマトウイチロウ) 伊藤昌輝 (イトウマサテル)
原作 一色次郎 (イッシキジロウ)
製作 加藤辰次 (カトウタツジ) 成島東一郎 (ナルシマトウイチロウ)
撮影 成島東一郎 (ナルシマトウイチロウ)
美術 下石坂成典 (Shigenori Shimoisizaka)
音楽 武満徹 (Toru Takemistu)
照明 佐野武治 (サノタケジ)
編集 浦岡敬一 (Keiichi Uraoka)
助監督 臼井高瀬 (ウスイタカセ)

■キャスト

俳優名 役名
田村高廣 (Takahiro Tamura)  大山稔
賀来敦子 (カクアツコ)  平田さわ
山岡久乃 (ヤマオカヒサノ)  たか
戸浦六宏 (Rokuhiro Toura)  三昌秀次
小松方正 (コマツホウセイ)  平田猛
藤原釜足 (Kamatari Fujiwara)  鶴禎老人
原泉 (ハラセン)  祖母
浜村純 (ハマムラジュン)  ユタ
殿山泰司 (Taiji Tonoyama)  豆腐屋の主人
三戸部スエ (ミトベスエ)  とく
田中筆子 (タナカフデコ)  鶴禎老人の姉
大井一成   稔の少年時代
新井庸弘 (アライヤスヒロ)  稔の少年時代
伊藤雄之助 (イトウユウノスケ)  大山公平

愛がなんだ









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