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作品詳細

  • 吉原炎上

 

■ストーリー

※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。

その昔、東京浅草の一隅に、吉原遊廓と呼ばれる歓楽の別天地があった。そこでは借金に縛られた娘たちが六年の年季が明けるまで、春を売っていた−−。久乃がここ吉原の“中梅楼”に遊女として売られてきたのは十八歳の春。明治の末のことである。〈春の章〉中梅楼には花魁の筆頭とも言うべき、お職の九重をはじめ、二番太天の吉里、三番太天の小花に次いで、菊川などさまざまな遊女がそれぞれ艶を競っていた。お職の身にありながら、宮田という学生と抜きさしならない仲になっていた九重は久乃に不思議な魅力を感じていた。九重の下につき見習いをはじめた久乃にやがて、娼妓営業の鑑札が下り、若汐という源氏名を貰った。ところが初見世の時、若汐は突然客のもとを飛び出し、裸足で逃げだしてしまった。そして、店のものに追われる途中、救世軍で娼妓の自由廃業運動を展開中の古島信輔と出会う。若汐は結局、店のものにとり押えられ、連れ戻されるが、このことに激怒した九重は、自らの身体で若汐に廓の女の作法を教えるのだった。彼女に不思議な魅力を感じていた九重は、この時自分が廓の女であることを忘れ身悶えてしまった。そして、数日後、店への借金を成算するとどこへともなく吉原を去っていった。〈夏の章〉一年後−−。中梅楼のお職の座には吉里がついていた。ある日、娼妓の菊川が品川に住み替えとなった。菊川は気のいい女で若汐とも仲がよかっただけに、彼女は一抹のさびしさを感じていた。そんなある夜、若汐の前に信輔があらわれた。信輔は今や先代の急死で古島財閥の若き当主となっていた。そしてこの日を境に信輔は若汐のもとに通いつめた。がしかし、一度も彼女を抱こうとしなかった。やがて、お職の吉里が、熱をあげていた男にフラれた腹いせに、剃刀を持ってあばれだし、白昼、自らの首に剃刀を当て死んでいった。吉里は酒と情人に弱い女だったのだ。〈秋の章〉ふたたび一年後。若汐の美しさはますます磨かれて、姉さん格の小花と艶を競うまでになっていた。翌年の年季明けをめざして小花はよく客をとっていた。しかし、このことが災いしてひどい喀血の末、病院送りとなってしまった。そして、小花に替わって若汐がお職の座につき、楼主と女将のすすめもあって花魁名跡“紫”を継ぐことになった。十月恒例の“仁和賀”で湧き立つ仲之町。お職の位に出世した紫の豪華な“積夜具”が部屋へ運び込まれた。その部屋はもとの小花の部屋。店のものがうっとりとそれらをながめていると突然、幽気のような小花が現われた。そしてお座敷から信輔と一緒に戻った紫の前で小花はその夜具をこなごなに切りさき、絶叫の中、死んでいくのだった。〈冬の章〉それからさらに一年後の冬。楼主と女将に呼ばれ部屋へ行く紫。とそこには信輔がいた。信輔は二千円という大金を彼女にさし出し、好きなように使えという。そして彼女の前から姿を消してしまった。紫はその金でかねてから考えていた“花魁道中”をやることにした。ある日、紫は菊川と再会した。一度は身受けしてもらったものの再び廓に身を落とし今では安女郎の菊川。二人の差は年月以上に大きなものだった。やがて、めぐりくる桜の季節となり、紫の豪華な花魁道中が行なわれた。彼女は信輔がお春という女郎のもとにいることを知ると、すぐに駆け付けるが、そんな彼女を菊川がとがめた。そして、紫は馴染みの客の坪坂の願いもあって、吉原を去ることにした。二人を乗せた人力車が吉原を出ようとする時、お春があやまって倒した火がもとで吉原全体が猛火につつまれ紫が育った中梅楼も、信輔もすべてが灰となってしまった。彼女は、燃えあがる吉原を万感の思いで見つめていた。



■解説

斉藤真一の『吉原炎上』『明治吉原細見記』を原作に、吉原遊廓の花魁の生き様を描く。脚本は「瀬降り物語」の中島卓夫、監督は「極道の妻たち」の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎が担当。また脚色構成として笠原和夫が参加し、『今は幻、吉原のものがたり』の作家近藤富枝が監修。

  • 1987年6月13日 より

  • 配給:東映
  • 製作国:日本(1987)

■スタッフ

監督 五社英雄 (Hideo Gosha)
監修 近藤富枝
脚色構成 笠原和夫 (Kazuo Kasahara)
脚本 中島貞夫 (Sadao Nakajima)
原作 斎藤真一 (サイトウシンイチ)
企画 日下部五朗 (クサカベゴロウ) 本田達男 (ホンダタツオ) 遠藤武志 (エンドウタケシ)
撮影 森田富士郎 (Fujio Morita)
美術 西岡善信 (ニシオカヨシノブ)
音楽 佐藤勝 (Masaru Sato)
録音 平井清重 (ヒライキヨシゲ)
照明 増田悦章 (マスダヨシアキ)
編集 市田勇 (イチダイサム)
進行主任 長岡功 (ナガオカイサム)
助監督 鈴木秀雄 (スズキヒデオ)
スチール 中山健司 (ナカヤマケンジ)

■キャスト

俳優名 役名
名取裕子 (Yuko Natori)  上田久乃(若汐・紫)
二宮さよ子 (ニノミヤサヨコ)  九重
藤真利子 (フジマリコ)  吉里
西川峰子 (ニシカワミネコ)  小花
かたせ梨乃 (Katase Rino)  菊川
山村聡 (ヤマムラソウ)  大倉伊三郎
佐々木すみ江 (ササキスミエ)  大倉スミ
園佳也子 (ソノカヤコ)  おちか
速水典子 (ハヤミノリコ)  綾衣
左とん平 (ヒダリトンペイ)  由松
岸部一徳 (Ittoku Kishibe)  国さん
ビートきよし (ビートキヨシ)  源さん
井上純一 (イノウエジュンイチ)  宮田
益岡徹 (Toru Masuoka)  野口
河原崎長一郎 (カワラサキチョウイチロウ)  越後屋善之助
成田三樹夫 (ナリタミキオ)  今朝次
竹中直人 (Naoto Takenaka)  桜田紅洋
中島葵 (ナカジマアオイ)  峯半の女将
大村崑 (オオムラコン)  写真屋
緒形拳 (Ken Ogata)  巡査
光石研 (Ken Mitsuishi)  巡査
山本清 (ヤマモトキヨシ)  吉原病院の医者
宮城幸生   会所の長老
木下通博 (キノシタミチヒロ)  金魚屋
大槻知之 (オオツキトモユキ)  仲どんA
タンクロー   仲どんB
伊織祐未 (イオリユミ)  中梅楼の花魁
野村真美 (ノムラマミ)  お春
小林稔侍 (Nenji Kobayashi)  坪坂義一
根津甚八 (Jinpachi Nezu)  古島信輔
岸田今日子 (Kyoko Kishida)  ナレーター

愛がなんだ









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