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作品詳細
食卓のない家
(原題:House without a Dining Table)
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。鬼童子信之・由美子の長男・乙彦が過激派の連合共赤軍による八ケ岳山荘事件に連座してから一年が経過しようとしていた。事件直後、鬼童子家には様々な投書や中傷、投石などの嫌がらせが続き、由美子は次第に精神が病んでいった。長女・珠江はフィアンセの親から婚約解消を言い渡され、次男の修は白け切っている。そんな中で信之だけは、成人に達した乙彦の犯罪は彼個人の問題で家族は一切関係ないという態度を崩さず、他の犯人の親とは違って謝罪らしい言葉は洩らさなかった。子供たちの信之への反撥、由美子の入院で崩壊寸前の鬼童子家を支えていたのは由美子の姉・貴和だった。喜和は厚生省の課長という独身の超キャリア・ウーマンである。又、頑なな愛憎を抱き合う信之と乙彦のパイプ役になったのは、信之の大学の先輩・川辺弁護士だった。ある日、信之は川辺から乙彦には朝野みよ子という恋人がいて、彼女は乙彦の子を身ごもっていると聞かされる。一方、珠江は婚約解消されたフィアンセと密かに逢瀬を続け、喜和の手助けで信之には内緒で結婚、アメリカに渡ることを決意する。信之は喜和の配慮に頭を下げ、事件後の自分にとって喜和は唯一の心の安らぎであることを痛感する。旅先で出会った民族学の研究生・香苗も信之にとっては華やかで眩しい存在だった。香苗の兄・朗は学生運動で右手の自由を失った青年画家で、東京下町の香苗の一家も一歩誤れば鬼童子家と同じ道を辿ったかもしれないという思いが、香苗と信之を結びつけていた。そんなとき、由美子が喜和のマンションから飛び降り自殺をはかった。珠江の結婚に強い衝撃を受けたことと、喜和と信之の関係に疑問を抱いたことが原因と思われた。それに追い討ちをかけるように、ハイジャック事件が起きた。犯人たちは日本政府に同志の釈放と身代金を要求、その中に乙彦の名もあった。政府はこれに対して超法規という手段で応じ、乙彦たちは国外に去ることが決定した。法律を守ることに全てを捧げてきた信之の中で何かが音をたてて崩れはじめた。さらに、獄中の中で生命だけは保障されていた息子が二度と日本に帰ることのない危険この上ない旅に出る衝撃が信之をぶちのめした。喜和の必死の説得も虚しく、乙彦の日本を去る決意は変わらない。乙彦は喜和から、愛した女性が子供を産み元気でいることだけを聞いてダッカ行きの飛行機に乗り込んだ。それを京浜島から見送る信之と修。やがて信之は、息子の愛した女性と、信之の孫に当たる子供を訪ねて北海道に旅立った。
■解説
長男の犯罪によって一家離散の危機に瀕した一族のそれぞれの苦悩を描く。円地文子の同名小説を「東京裁判」の小林正樹が脚本・監督、撮影は「泰造」の岡崎宏三が担当。
1985年11月2日 より
- 配給:松竹富士
- 製作国:日本(1985)
■スタッフ
監督 | 小林正樹 (Masaki Kobayashi) |
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脚本 | 小林正樹 (Masaki Kobayashi) |
原作 | 円地文子 (エンチフミコ) |
企画 | 佐藤正之 (サトウマサユキ) 原正人 (ハラマサト) |
製作 | 川本源司郎 (Gensiro Kawamoto) |
プロデューサー | 岸本吟一 (キシモトギンイチ) 大志万恭子 |
撮影 | 岡崎宏三 (Kozo Okazaki) |
美術 | 戸田重昌 (Shigemasa Toda) |
音楽 | 武満徹 (Toru Takemistu) |
録音 | 西崎英雄 (ニシザキヒデオ) |
照明 | 下村一夫 (シモムラカズオ) |
編集 | 小川信夫 (オガワノブオ) |
助監督 | 吉富友也 |
スチール | 山本耕二 |
提携協力 | 俳優座映画放送 |
製作協力 | ヘラルド・エース |