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作品詳細
武蔵野心中
■ストーリー
※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。昭和二十三年六月十九日、作家・太宰治と愛人、山崎富栄の死体が、折り重なって玉川上水の濁流の中から発見された。出征軍人の妻、富栄は美容師仲間の喬子の紹介で太宰と会ったのが運命的な出逢いだった。富栄は、敬愛する亡兄と太宰が同じ高校の卒業生であることに親近感を覚え、彼が世間での評判とは裏腹に、優しい男であることに惹かれる。戦地にいる夫のことが脳裏をかすめ、また妻子ある太宰との不倫の恋の予感に戦慄が走る。一方、太宰も都会的な美貌の富栄に波滅的な愛を感じる。翌日、書店で太宰の作品を求めた富栄は、帰路、偶然にも太宰と出会い、初めての唇を重ねる。ある日、富栄は喬子から三冊の小説を手渡たされる。それは、太宰の過去の女をモデルにし、死に対する妄執と破滅的な愛の編歴を描いたものばかりであった。富栄は、太宰があけみという女給と心中して生き残り、最初の妻、早苗とも心中して未遂に終って離婚し、緋紗子と再婚したことを知り、彼との愛に賭けた女たちのことを激しく嫉妬する。二人の逢瀬は続き、太宰は富栄の部屋に入りびたる。肺結核に病む太宰は富栄の口述筆記で「斜陽」をやっとの思いで書き上げ、それは大ベストセラーとなり、人気は不動のものとなった。その頃、富栄の父が夫の戦死の公報を持って来た。つかえたものがとれたような安堵感にひたる富栄。そこへ、伊豆にいた太宰の愛人、澄子の兄がやって来て、生れた赤ん坊の父親であることを認知しろと迫る。二人きりになると富栄は荒れた。数日後、二人は療養をかねて熱海に行き、そこで太宰は文壇の長老格に一矢報えんと過激なエッセイを書く。それは大きな波紋を生み、賛否両論が飛び交うが、その激しい語り口は自滅的なものだった。富栄は太宰との愛に殉じることを決意する。その夜、玉川上水を歩く二人の影が川に身を役じると、あっという間に急流にのみこまれていくのだった。
■解説
作家、太宰治と、晩年の太宰の良き理解者として献身的に尽し、永遠の旅立ちに同行した山崎富栄の二人の姿を描く。長篠康一郎の同名の小説を映画化したもので、脚本は「お嫁にゆきます」の井手俊郎、監督はテレビ界出身でこの作品が映画第一作になる柴田敏行、撮影は「色ざんげ(1983)」の山崎善弘がそれぞれ担当。
1983年8月5日 より
- 配給:にっかつ
- 製作国:日本(1983)
■スタッフ
監督 | 柴田敏行 (シバタトシユキ) |
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脚本 | 井手俊郎 (イデトシロウ) |
原作 | 長篠康一郎 |
企画 | 小林八郎 (コバヤシハチロウ) |
製作 | 岡田裕 (Yutaka Okada) 駒井憲二 (コマイケンジ) |
プロデューサー | 八巻晶彦 |
撮影 | 山崎善弘 (ヤマザキヨシヒロ) |
美術 | 渡辺平八郎 (ワタナベヘイハチロウ) |
歌 | みなみらんぼう |
録音 | 酒匂芳郎 |
照明 | 小中健二郎 (コナカケンジロウ) |
編集 | 山田真司 (ヤマダシンジ) |
選曲 | 佐藤富士男 (サトウフジオ) |
助監督 | 児玉高志 (コダマタカシ) |
製作プロダクション | 三木プロダクション |
スチール | 目黒祐司 (メグロユウジ) |
■キャスト
俳優名 | 役名 |
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高瀬春奈 (タカセハルナ) | 山崎富栄 |
峰岸徹 (ミネギシトオル) | 太宰治 |
森田日記 (モリタニッキ) | 水谷喬子 |
風祭ゆき (カザマツリユキ) | 津島緋紗子 |
林圭子 (ハヤシケイコ) | 津島由美子 |
山田哲平 (ヤマダテッペイ) | 津島茂 |
沢井孝子 (サワイタカコ) | 小野田澄子 |
萩尾なおみ (ハギオナオミ) | 中井早苗 |
田川いづみ (タガワイヅミ) | 田代あけみ |
太田あや子 (オオタアヤコ) | 北原啓子 |
下絛アトム (シモジョウアトム) | 河合肇 |
児玉謙次 (コダマケンジ) | 藤川 |
関川慎二 (セキカワシンジ) | 野村貞男 |
林辛二 | 庄司吾郎 |
大江徹 (オオエテツ) | 亀岡大作 |
橘雪子 (タチバナユキコ) | 亀岡加代 |
吉田昌美 (ヨシダマサミ) | 亀岡雪江 |
花形美千子 (ハナガタミチコ) | 蝶子 |
市村博 (イチムラヒロシ) | 小野田公之 |
伊沢一郎 (イザワイチロウ伊澤一郎) | 山崎広道 |
浅見小四郎 (アサミコシロウ) | 沖田晴人 |
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